「風の谷のナウシカ」は、宮崎駿が月刊「アニメージュ」に1982年2月から連載を開始した、最終戦争後の世界を描いた物語である。
1983年5月までの連載分は、本人の手によって劇場公開アニメ化され、大ヒットとなったことは余りにも有名。
しかしアニメでは描かれていないその後の結末は、本当に辛く長い戦いの物語であると共に、当時はあまり意識されていなかった、人間が地球と共生するための指針を示していた点で、今読み返しても、全く古さを感じないどころか、とても考えさせられる内容となっている。
登場人物の中で、ナウシカと共に「腐海」の謎を探求してきたユパの言葉が印象的だ。
風の谷の東北東 200リーグ 塩の海の岸辺
この時代 人は海の恩恵からも見放されていた
海はこの星全体にばらまかれた汚染物質が最後にたどり着くところだったからだ……
環境中に放出された汚染物質が辿りつくのは海。これは今回の事故でも同じである。
「風の谷のナウシカ」では、腐海は汚染物質を少しずつ浄化するとともに、瘴気という目に見える形で、そこに立ち入る人間に危険物質の警告を与える存在だった。しかし、放射能は目に見えない形で存在していることがほとんどで、さらなる恐怖心を覚える。
我々はナウシカが瘴気を放つ腐海と共に生きていくことを決断したように、放射性物質と共に生きることを、半ば強制的に選択させられてしまった今、再びナウシカの物語を読み返すことは意義があるように思う。
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